明日10月1日から、ライカM8の価格が全世界的に「値上げ」される。日本での価格はこれまでの577,500円から693,000円。115,500円の値上げだから、約20%に相当する。スペックはすべて同等。他のMシリーズに価格変更はない。(ライカからのリリースによれば、キャップ、アダプター、フードなどの一部アクセサリーも価格変更の対象となっている)
デジタル業界では異例ともいえる単純値上げの背景には、およそ2つの要因があると推測される。
1.M8が予想以上に売れていること
2.M8トラブルが多発し予想以上にサポート・コストが大きく負担になっていること
(対ユーロの円安傾向は、並行輸入業者の価格上昇の理由にはなっても、製品価格変更の理由にはならない)
とくに "2"については、オートモード時のホワイトバランスがかなりあぶなっかしく、一部のユーザー(06年内購入者)への赤外線フィルター無料配布を宣言してみたり、実際にはその対応が混乱していること(該当者への配布状況がめちゃくちゃで、登録内容とは異なる径のものが送付されていることが多発)だったり、発売数ヶ月で電気系統の故障が多発していたり、起動不良があちこちでおきていたり(バグか不良かが不明なものもあり)、ファームウェアのアップデートプログラムのインストールそのものが不安定だったり、などの状況をみれば、容易にうかがうことができる。
旧来品の価格が変わらないということは、M8だけに限定された要因と絞られる。だとしたならばこれら対応コストが、新ユーザーの価格に上乗せされていること、しか考えられない。
ま、こうなると損失補填のための増税に似て、いわゆる、戦略ミスの是正負担増、である、とも邪推できるのである・・・むろん、これらはあくまで推測である。答えが一つではないだろうが、あたらずとも遠からずではないかと思われる。
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さて問題は、これまでライカM8を検討している人が、693,000円を払ってまで、買うものなのか、という話である。
今日(9/30)、M8(初号機)とR-D1を携えて、雨の巣鴨(ここに大きな理由はないが)、この二台の使用感の比較をしてきた。とくに夕刻には雨が強まり、その環境下ならではの予想外の実験が出来たのでそれも反映した。あくまで個人的な使用感の比較であるが、なにかの参考にしていただきたい。なお、×とか○というのはあくまで主観に基づく二者比較上のものである。それぞれの機能を否定するという意味ではありませんので念のため。
ライカM8 エプソンR-D1
操作性の部------------------------
○シャッター速度変更操作
○ ○
○メモリー/バッテリー交換操作
×(軍艦蓋開閉) ○
○撮影済画像表示の拡大・縮小操作
○(ダイアル) ×(メニュー)
○撮影サイズ変更操作
×(画面メニュー) ○(レバー)
○露出補正変更(EV)
×(メニュー) ○(回転ダイアル)
○シャッターチャージ
○(自動) ×(手動)
性能の部------------------------
○最高画素数
○(10M) ×(6M)
○ホワイトバランスの自動制御
× ○
○電子制御の安定性
× ○
○ファインダー倍率
0.68(片目) 等倍(両目)
○最高シャッター速度
○(1/8000) ×(1/2000)
○ISO
○(160-2500) ×(200-1600)
ガジェットの部--------------------
○多湿時のファインダー曇り
○(あまり曇らず) ×(すぐに曇る)
○バッテリー継続時間
× ○
○追加バッテリーの価格
×(約11000円) ○(約4000円)
○重量
△(545g) △(560g)
○ブランド的威力
◎ △
○発売日
2006/12 2006/03(R-D1s)
○推定ストリートプライス
65万円前後 23万円前後
さて、この比較で、どちらを購入すべきか・・・。すでにM8を二台ももっている僕が考えることではないのだけれど・・・・R-D1の後継機種を待つ、だろうな。希望するのはたったふたつ。自動シャッターチャージと、画素数だけ。フルサイズCCDは望まないからね。
M8への落胆は、使用してはじめてわかる電気系統の弱さ。そして発売元のサービス混乱。
僕はプロじゃないから普段はjpegで撮るんだけれど、色味は明らかにEPSONの方が上だとおもっているし。ここいらについては、いろいろな好みがあると思いますけれど、M8はいまのままじゃ話にならないな、とも思っています。がんばって欲しいんだけれど、ライカには・・・。