斉藤由多加 (Yoot Saito)
さいとうゆたか
 

東京生まれ。ゲームクリエーター/株式会社ビバリウム。ゲーム作品の代表作は「シーマン~禁断のペット」「大玉」「ザ・タワー」など。ゲーム作品の受賞歴としては、文化庁メディア芸術祭で特別賞、米国ソフトウェア出版協会でCodies賞、Game Developers' Awardsなど。 TheTowerDS が08年6月26日に発売予定 
 使用カメラ/ライカM8 愛用レンズNoktilux 50mm F1.2など

株式会社ビバリウムのサイトはすこしリニュアルしてwww.vivarium.jpに移動しました。
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ブルース・リーという人

ブルース・リーの映画がどうしてあそこまで流行ったのだろう?

ひとつ、思い当たることは、「当時の小学生にでもわかる内容」なこと。

彼の映画には、印象的な登場人物はあまりてこない。全編彼一人でひっぱってるわけで、にもか変わらず一時間数十分観客を飽きさせない。それほど持ちネタが多いとは思えない役者だが、あの独特の動きと、そして七変化の顔!!!

飽きさせないというのは、それだけですごいことだ。一人の肉体だけ人をそこまで惹きつけ続けることができる役者は(AV女優を除いて)いないのではないだろうか?

ブルース・リーという人物には「偉大」という言葉がやけに似合う。彼の作品が名作なのか?というと、すこし首をかしげてしまうけど、なのに「偉大」なのだ。
「もえよドラゴン」の前の、香港制作の「ドラゴン怒りの鉄拳」、このときのブルース・リーの凄みは、ゴッドファーザーのマーロン・ブランドを髣髴とさせる。

僕は勝新太郎が大好きで、映像に彼が映っているだけでうれしくなってしまう。ブルース・リーもそうだけど、彼らがオブジェとして存在する空間とか質感がすきなんだ。技術でも演出でもない、オブジェとしての存在感。

そういう引力がある俳優さんが少なくなってきたのは、技術革新のせいだろうか?それとも人類の顔が小さくなってきたせいなのだろうか?

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シリーズ人間関係 その2 「気が合わない人との関係」

"気の合わない二人"が結託できる場合としたら、それは「巨大な共通の敵」をもったときだという。S先生は、「だから初めてのデートは、テーブルではなくカウンターに並んで座れ」と教える。

向かい合うのではなく、同じ側で隣り合う・・・この位置関係は心理的に、確かに楽だ。その目線の先の景色が動くと、なおさらによいのもわかる。つまり、「敵は外にいるぞ」という関係。
思えばゴルフも、ドライブも、、遠足のバスも、異国への旅行も、(敵というほどの対象ではないが)同じ側からの共通体験の別称だ。向かい合うのとはずいぶんとちがう。

もしかしたら、人間同士というのは向かい合うのがとても苦手な生き物なのだろうか?

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エイリアンが来訪したとき人類が初めて団結するというストーリーは昨今のSF大作映画の定番だが、要は「共通の敵」こそが人間を結託させる唯一の手段とS先生はいう。

たしかに人を巻き込むのが上手な人、仕事をうまく進める人、というのは、この「仮想敵」を関係者に上手に提示する。

「おれの指示に従え」ではなく、「あいつらを倒せ」とか「あそこに行こう」「あれを手に入れよう」という言い方に転換する。そしていつしかリーダーとして同じ側に立っている。

だとしたら、もって行き方次第で「気の合わない人」といくらでもうまくやる方法があるように思えてくる。人間同士の「あう」「あわない」というのは、外環境次第でいくらでも変化するものなのかもしれい。

「気」という考え方は、ただひたすら人間の相性を体系だてている点で、とてもおもしろい。

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Tさん 解説をありがとう(TowerDSの早期購入オマケ本のこと)

Tさん、解説の原稿いただきました。書いて下さって本当にありがとうございました。大変な熱意をもって会社を説得くださったとのこと、そのことが何にもましてうれしかったです。
思い返せば、もうずいぶんと長いお付き合いになりますね。がんばって本を書いてよかったなぁ、と、この週末しみじみと喜びを噛み締めましたこと、あわせてご報告申し上げます。

そしてなによりも、許諾をしてくださった会社の皆様、本書あるいは本試みをご理解くださりまして、まことにありがとうございました。

さてこの週末、印刷会社より見本が届きました。 (徒歩20秒圏内という近所にあります)
たかだか128ページの文庫本ですが、「オマケ本を作って製品につける」という子供のころからの夢がこれで叶いそうです。うれしさのあまり見本誌の表紙を自宅で撮影してみました。(爆)

タイトルは版サイズなどから「お父さんのためのゲーム企画講座~その1着想編~」と短く変更しました。島崎くん、最後に変えて本当にごめんね。関係各所へのご連絡よろしくおねがいします・・・・。(たとえばココだとか)

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僕は本が大好きでして、その重さや形、紙の手触りから開いたときのインクの匂いまで、全部まとめて好きなわけです。自分で何冊も本を著すようになってからもこの気持ちはずっと消えずにいます。「ただの紙束が、インクのパターンを置いただけで、ここまでのドキドキ感あふれるオブジェへと変貌するのか!?」、と、いまだに感心するわけです。(私の本がそこまでかドキドキか?については自信がないけれども・・・。)

これまでのゲームタイトルも、パッケージやその他世界観の質感にはずいぶんとこだわってきたんですが、「書籍はやっぱいい」、などと悦に浸っているわけです。(写真は見本誌といってもゲラを仮製本しただけですぅ)

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実は本書は、全三冊で構成される予定の導入部をまとめたものです。残りの二冊がどのような形で配本されるかはまったくの未定ですが、私の希望を言えば、デジトイズからでるソフトに毎回つけていきたい、なんて考えています。評判がよければ、のはなしですが・・・・・

以上途中報告でした

追伸***************

「お父さんのためのゲーム企画講座」という命名は、いうまでもなくTBSのブロードキャスターという番組のコーナー名をもじったものです。僕はこの番組がとても好きで、というのも、週末のいい気分を絶対壊さないように、題材の選択や編集にとても配慮してくれているから。つまりすごく安心して見ていられる。これって(とくにプライベート時間を過ごすものにとって)とても大事なことだとおもうし高度な職人業だとおもう。

最近歳のせいか、嫌な気分になってまで何かを知りたいか?って自問自答することがあって、自分もゲーム作りでそうありたいと思うのですよ。

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シリーズ 人間関係 その1 「気があう」

勝手に、しばらく連載形式で更新してみよう、と思いついた。
タイトルはなんでもいいのだが、とりあえず「人間関係」としてみた。
第一回に、「気」について書いてみた。
しばらくお付き合いいただきたい。

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「気」というものについて、何度かその道の先生に教わったことがある。並行してその先生の著書を読んで、ずいぶんといろいろな謎が解けた気がしたものだ。

元気、病気、気分、気質、本気、勝気、「気」ほど、あちこちの文字とくっついて顔を出す言葉はない。
でも、この気、という言葉が何を指すのか、わかっているようでわからない。

気が乗らない、気が合う、気が強い、気になる、気に入らない、気にする、
・・・これらの言葉に登場する「気」とはすべて気功の「気」だという。
科学では証明できないけれど、すべての人間に備わっている「気」というもの。
乗ったり、合ったり、強かったり、入ったり・・・・いったいなんだ?

職人や芸術家は、「気が乗らない仕事」は決してし引き受けてはならないそうだ。
理由は、引き受けてもろくな結果にならないから。職人は経験的にそれを感知しているが、論理的に他人に説明できない。説明できないから「気が乗らない」としか表現できない。しかし人はそういう態度を自己都合で「わがまま」と決めつける・・・。

思い当たる経験がいくつも脳裏をよぎる。 「たしかに」、とうなずいてしまった。

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気が合わない人との関係も同様だ。仕事でもあそびでもまったくうまくいかない。なぜうまくいかないかはわからないが、とにかく、合わない。こういう相手とうかっり付き合ってしまうと、やがては相手を忌み嫌い、誹謗愁傷する悲惨な関係にもなりかねない。しかし、それでも近くにいると、ついぞ攻撃してしまう、それが人間社会というものだ。
そして両者消耗し、時としては破滅する・・・・。

しかし、本当は、どっちっが悪い、ということではない、それが「気」の考え方だ。互いの「気が合わない」だけのことだ。血液型と同じような理屈。本来、相手を憎むようなものではないのに・・・・

もしそういう相手と知り合ってしまったら?
こつは決して距離を縮めないこと、だそうだ。

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こういう相手と、しかし必要に迫られてどうしても仕事を一緒にしなければならない場合がある。どうしたらうまくトラブルを回避できるか、をかつてこの「気」の先生に教えてもらったことがある。

                                      つづく

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物騒な時代ですが

最近、日本は物騒になった・・・・・とニュースを見ていて思うのは、実はちょっとした勘違いなのだろうか?
いやいや、日本が平和になったというつもりはない。ただね、実は、メディアが発達したせいで顕在化する事件の数がやけに多くなったのでははないだろうか?と。
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報道を見ている限りここ数年でのセクハラ事件は急増している。が、実はセクハラ行為はずっと以前からたくさんあったわけで・・、いや、むしろ昔の方が多かったのではないだろうか?そう、かつてうやむやにされていたこの手の事件がここにきてオープンになっているならば、逆に言うとセクハラという概念ができてからは実際の発生件数は抑制されてきているのではないか、という気がするのである。あるいは公務員によるわいせつ不祥事などもね、「最近はこんなに毎日おきてるの」とネットニュースをみていて思うんだが、要するに、実はずっと昔から起きていたんじゃないの?とね。
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テレビを見ないかわりにネットでニュースを「読む」ようになってから、ひとつ、ちょっとした変化が自分の中におきている。
ニュースの重みづけがなくなったせいで、信憑性の判断が、あるいは事態の重大性が、あいまいになってきた。ちなみに重み付けというのは、新聞で言うと、見出しの大きさだったりする。
テレビではNHKの夜ニュースとか、TBSのバラエティー番組のニュース、といったように、ニュースにも重み付けがあった。プロの局アナの張った声と映像での盛り上げがあり、順位付けがあった。そのせいでニュースは重大っぽくに見えるんだな。いわゆる演出効果というやつ。僕らはその事件の重大性を、しらずしらずにこの「演出度」で計っていた。
ネットで読むニュース記事にはそれがない。ただのテキストは、個人ブログの書き込みとさして変わらない。ほんの些細なことまでが事件風に書かれている。なのでそのぶん、どれがどこまで本当なんだか、わかんなくなった。ついぞどれもインチキくさく見えてくるのである。人間というのはいいかげんなものだ。
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そう思い始めると、ネット上のあちこちのニュースがどれもまゆつばもののニュースのように思えてくる。ネットのおかげでメディアの敷居が低くなって、ニュースが、いや事件はつくりやすくなった。
しつしか、事件とは発覚するものではなく、人によって作られるもの、という意識が芽生えている

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青島刑事は「事件は会議室じゃない、現場で起きているんだ」というが、殺人事件ならいざしらず、些細な事件なんてものは当人たちも気づかなかったりする。メディアが取り上げてはじめて意識の中に「事件」として出現するわけだ。

なもんだからり、じゃ、果たして「本当の事件数」は、増えているのだろうか?減っているのだろうか?となる。それがわからなくなってきた。

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今回のタワーの、ちょっとした苦労点

いま、最後のマスターアップである。

今回のタワーは、6月29発売予定であるが、ぎりぎりのスケジュールで進んでいるので、ひとつでもなにかあると、発売延期になる。余談を許さないというと聞こえはいいが、6月29日はダビスタの発売日だそうだ。ユーザーはかぶらないだろうが、ずれてもいいんじゃないの?なんて思う僕がいる。

しかし、新会社が最初のタイトルから遅れていたのでは今後よろしくない、という気合のもと、社内は弾丸特急のようにデバッグがすすんでいる。

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TowerDSには、シナリオが4つある。こういうのはシリーズ初である。ちなみにシナリオは

●分譲マンション
●ビジネスホテル
●ショッピングセンター
●複合ビル(本来のタワー)

の4つである。

分譲マンション編は、マンションを分譲するだけで切り抜けないとならない、シンプルなミニマップだ。シンプルだが奥が深い、というバランスになるようチューニングが進んでいる。

ここでは、クリアイベントとして「休日にバスが訪れる」という設定をした。交通手段のないこのマンションも、規模が大きくなると「バス停」がつくられる、だからそれに向かってがんばろう、という笑えるような設定だ。

そしていよいよ条件が整った休日の早朝にバスは訪れる。寝ている住人たちを声で起こして時間内にバスに乗せなければならない・・という操作は、日常的体験からの発想である。バスが出発するまでに住人をたたき起こしてバスにのせられたらGOOD・・・・まるで田舎の村のような話。この企画はずっと以前からやりたかったものだ。SP版でもマイクなしで試みたが、結果ボツになった。DSでマイクがついて実現した。

ビジネスホテル編では、「チェックイン時間と翌朝のチェックアウト時間」のバランスに苦労してほしい、これもミニマップだ。管理者としては宿泊者が去った部屋のベッドメイク時間をなるだけ長く取りたい。だから、なるだけ遅いチェックインと、翌朝早くのやいチェックアウトにしたいことになる・・・・だが、客はどうかとなると、その逆で、なるだけ遅くまで寝ていたい・・・・・この「サービス」と「自己利益」のジレンマを軸とした。
これも出張などでの体験に基づく。

といったように、おなじ文法のようですこし違うミニゲームを新規で作ってDSの冒頭につくってもってきている。
だから、時間がかかってしまっている。ただやみくもに、時間をかけているのではないのさ。

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そうそう、今日は店頭用ビデオの最終納品日だ。

デジトイズという会社は、「自分らしく」がモットーなのでこんなビデオをつくった。
いまから48時間限定のダウンロードだっ。
VIDEOsample.wmvをダウンロード
△ご周知のとおり、禁複製、禁転載がこちらのブログの了解事項となっておりますので、同意いただける方のみとさせていただいております)

最終版はテキストテロップなどが変更になる予定だが、ま、別に秘密なものでもなし、むしろたくさんの人に見てもらったほうが関係者は嬉しいにちがいない・・ということで、アップします。このブログを見に来る人の中に、応援団がすくなくないのでね。
(最終版は近々に公式サイトなどでも見られると思いますが・・・・。)

最後に、ザ・タワーDSは4800円なのだけれど、「税込みで4800円」というのは他とは違う。ROM製造費やなんだかんだを引いたうちから240円ちがうんだから、事業計画上これは大きかったぜ。

エンターテイメントは安くすりゃいいってもんじゃない、とはわかっているんだけど、すこしでも買いやすくしたかった・・・のである。「クリエーターは経営が下手だ」と、また言われるんだろうなぁ・・・・・

応援団の人は、予約してくださいね。
本もがんばって書いてますんで・・・。(←これの苦労も、けっこうしんどい)

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連休が終わりました

楽しみにしていた連休がおわってしまった。
でも最後の今日が、とても気持ちよい日になったので、それだけで満足である。

今日は、部屋の大整理をし、カーテンを付け替え、娘に手伝ってもらいバリカンで頭を高校球児みたいな坊主にまで刈った。 すこし閉塞的だったいままでの自分をすこし入れ替えて、夏モードに向かえるようになればいいな、という思いをこめた。

部屋が整理されると気持ちがいい。風が、あたらしい厚手のコットンのカーテンの匂いとともに部屋に入ってくる。

夕方、いとこの敦士夫婦が突然訪れた。
小学生だったときに敦士の家庭教師をやっていたことがある。いまは四十過ぎの男だが、この敦士iにすら
「兄貴のブログは難しすぎて読めねぇよ」といわれた。

痛いところをつかれた。最近の僕はなにかに取りつかれている。しかも体調不良とストレスが重なってここのところ更新すらしていなかった。

最近の僕はといえば、暇を見つけては、逃げるように車で葉山までいき、将来の別荘候補ばかりを見ていた。ある種の現実逃避なのだろうか? いや、作品を発表前になると、よくこうなるから「癖」かもしれない。そう、「逃避壁」ってやつ・・・・。

僕の夢は「ブラックジャックの家」みたいに、断崖絶壁に建つ木造の家で書き物をすることだ。そんな物件いまどき、なかなか、ない。あったとしてもパカみたいな値段だ。

でもいずれ大儲けをしたら、海沿いの家を買おう。
黒澤さんは富士山がみえる御殿場だったけど、僕は夏に蝉時雨が聞こえる葉山の家がいい。
そこから相模湾を見下ろして、四季を感じながら、書き物をして暮らすんだ・・・・、この日本がどんなにだめな国であったとしても、結局、僕は日本人なのだ・・。

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だから今日は、カンタンな日記を書いてみることにした。たしかに、こういう気持ちのいい日は、難しいことを書く気にはならないし。

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ずっと自宅のトイレ棚に陳列したあった何種類ものZIPPO。今日はその中からひとつ選んで、オイルを入れてみた。陳列したあるZIPPO群は、過去にいろいろな人からもらったものをただならべたものだ。うちひとつは、西健一君からもらったものだけれど、最近元気なのかな?と、思い出した。

そういえば西君を通じて知り合った田中君と、小山君が立て続けに結婚するという連絡を先月にもらった。めでたい話だった。パーティーはどちらも土曜日だったので、出れずじまいだった。田中君は個別にお祝いをさせてもらったけど、小山君は花を送った。でもね、出席しなかった本当の理由はね、僕の人見知りのせいだ。高校の同窓会であっても、当日までなかなか決心がつかない、それが僕だ。

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そんな人見知りな僕には、人からもらったZIPPOというのが思い出としてなかなかいいかもしれない・・・。ひとつひとつ絵柄が違うのがその人の、いやその時の、シンボルみたいになっている。

整理していた部屋からは処分に困るほどの名前入り100円ライターが山ほど出てきたのだけれど、これからしばらくはZIPPOを使ってみることにしよう。

これからもし、誰かからなにかを頂戴することがあるとすれば、ZIPPOがいいなぁ。禁煙ブームの時代ではあるけれど、きもちいい風の入ってくる自分の部屋で一服するタバコは最高だ。これが海沿いの家であれば、もっと、にちがいない・・・。

ここのところの胃潰瘍がこの連休ですこし良くなった気がする。

明日がいい日でありますように。