斉藤由多加 (Yoot Saito)
さいとうゆたか
 

東京生まれ。ゲームクリエーター/株式会社ビバリウム。ゲーム作品の代表作は「シーマン~禁断のペット」「大玉」「ザ・タワー」など。ゲーム作品の受賞歴としては、文化庁メディア芸術祭で特別賞、米国ソフトウェア出版協会でCodies賞、Game Developers' Awardsなど。 TheTowerDS が08年6月26日に発売予定 
 使用カメラ/ライカM8 愛用レンズNoktilux 50mm F1.2など

株式会社ビバリウムのサイトはすこしリニュアルしてwww.vivarium.jpに移動しました。
フォトアルバム

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年賀状とかクリスマスカードの「たった一言」の意味ですけれど

ライカジャパンから、ずいぶんとまめにいろいろなニュースレターが郵送されてくる。それがライカショップでかつてカメラを購入したからであることは明白であるのだが、それにしてもうれしい。

昨日は、おそらく店舗スタッフと思しき方々の手書きの寄せ書き入りのクリスマスカードが、ライカブランドの携帯ストラップとともに送られてきた。

その前には、現行ライカレンズがすべて網羅された、パンフレットと呼ぶにはあまりに豪華なつくりのブックレットが送られて来た。

販売促進とはわかっていても、こうしょっちゅういろいろなものが送られてくると、「申し訳ないなぁ」という気持ちと「がんばってと欲しいなぁ」という気持ちが沸いて来るものだ。

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年賀状の季節である。年明けに出社すると、取引先やら行きつけの店やらからどーんと年賀状が届いている。

大企業では規定の賀状が製作されるから、社員はそこに宛名ラベルを貼って年末にどんどこと出す。社員たちは義務感だけでそれをやっているから差出人の名前すらもないものが多く、あっても社員伝票用のゴム印か、中には申し訳程度に三文判を押しただけ、というものがたくさん届くのである。これじゃ、レストランのDMよりひどいじゃないか、というすこし残念な気持ちになる。

それが何であっても送ればいいというものではない。郵送物には受け取る側の気持ちもある。「こんないやいや出したのが見える年賀状だったら、いっそくれなくていいのに」と、思う権利が受け取り側にはあるし、そのまま「シュレッダー行きにさせる権利」もある。いや、けっこうその権利を行使する人は多い。商品の引換券になっていれば話は別だけど(笑)

で、どんな言い訳をしても、やっぱりこれは資源の無駄遣いだ。一言でいいから手書きの「ことぱ」がありさえすれば、一枚のハガキにふと手を止めて、その人に思いを巡らさせる・・・それが年賀状の意味だろうし、エンターテイメントの本質でもある。そのためのちょっとした努力が面倒ならば、いっそなにも出さない方がいい。

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そんな年賀状が多い中で、ライカさんからの寄せ書きクリスマスカードは、うれしかった。一人ひとりが多忙な中、一生懸命に書いたのだろうなぁというのがひしひしと伝わる。
だから、今年の僕の会社のクリスマスカード(弊社は年賀状は慣例で出さない)は、宛名もすべて手書きにした。社員が手分けして手書きしたから、字の上手い下手の個体差がある。それがいいと思っている。

このブログを読んでいる取引先の皆さん。
ゴム印とか三文判だけの年賀状はもったいないので出さないほうがいいよ。なによりもまず、もったいない。

オートマティックなDM印刷物はいらないと感じるのは誰しも共通だし、出した人のイメージは確実に下がる。人が新年の初日に欲しいのは、あなたの意思であって、それが年賀状の意図である。そのかけらもないものはどうぞ切手代の節約対象と考えた方がいい。

「人から頂戴するものに注文をつけるなんて何様だ!?あつかましいにもほどがある」という声が聞こえてきそうだけれど、いまの時代にこういうことはとても大切ではないかと思う。

ゲーム業界は他の業界に比べてぬるい業界だ。そのぶん社会人としてのマナーとか常識が、ない社員が多い。偉そうなごたくをならべても、それはまぎれもない事実だよ。はやく直さないとそういうことはよろしくないと切に思う。

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ご無沙汰しております

最近、更新が遅れ気味です。

理由は、例によって、ちょっとドタバタしていたからです。

ドタバタに乗じて(?)、古いライカレンズを入手しました。
マルベル堂のブロマイドみたいにボケ味の聞いたレトロ写真をとりたくてのことです。
1950年代の沈胴式の50mmレンズです。
いままで広角しかもっていなかったので、とてもうれしいです。

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ちなみに沈胴式のレンズはライカのM8には入らない、という噂は嘘です。
しっかりと使えます。

最新デジタルカメラで、Photoshopなんかではつくりだせないボケ味の効いた写真をとるのもなかなかいいものです。

今月のトップ写真はこのSummitar50mmで撮ったものです。

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要するにバグとの格闘

要するに、いまシーマン2の開発チームは、バグとの格闘をしているわけです。

デバグというのは丹念にバグをつぶす作業であり、いわばシステム側の話であって、企画側の案件ではない。

だから、デバグの時期になると、ただ僕は力なく気をやきもきさせるだけなのだが、これが胃に悪い。自分の運命を人に委ねた患者のようなものだ。

相手が人間であれば、着地点というものがたならず見つかる。だが、プログラムというのは、つまり機械が相手の場合は、いっさい融通がきかない。だから甘えるたり説得したり、人為的な作戦がいっさいとれない。

そもそもバグというのは、人為的なミスである。しかし、これは綺麗ごとであって、実際は迷路の宮殿の中で、落としたコンタクトレンズを探し回るような作業である。

「人為的ミスであるということは、なんらかの共通点があるはずだよ」などと先輩面をして若手に講釈する僕がいた。担当者のクセが原因だったり、あるいは時期的なものだったり、仕様の勘違いミスであったり、何かしらの共通点があれば、突き止める手かがりになる。

などといいながら、僕は何もなす術がない。納期が迫っている中で、バグとの格闘をしてくれていいるメンバー諸君には、とくに4階チームの諸君には敬意を表したい。

僕はというと胃潰瘍がかなり悪化してて、資金繰りとか、工場入れだとか、プロモーション計画だとか、とにかく追い詰められているのであって、もう二度とゲーム開発などするものか、と思ったりしている。

しかし、デバグの時期になるとひとつ思うことがある。
人の力というのは偉大だ、ということだ。

自分の力の小ささに嘆くとともに、メンバーたちの力の大きさに、いつも脱帽する。
今回も、その力を信じていたい。

でないと、胃の穴からすべてが流れ出てしまいそうだ・・なんて正味な話を書けるのは、そして人に話せるのは、自分のBLOGくらいのもんだ・・。それくらい、この時期は、消耗する。

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キューバに行きたい

仕事から解放されたら、キューバにいきたい!!

なぜかその思いが強くなってきた。
キューバか、そうでなければ、チベットあたり。

チベットは、北半球だからかなり寒い。だったらやっぱキューバかな、と思い六本木ヒルズのツタヤの南米コーナーに本を探しにいったら、置いてあるのはゲバラの本ばっかりだった。
ゲバラの本というのはなぜか裏原宿の美容室にかならず一冊おいてあって、もう読み飽きた感がある。と思いきや、ふと、そこに見覚えのある名を冠した本があったので手に取った。

それはI君という、かつての後輩による本であった。
「Iのキューバ日記」というのがそれで、ページを開くと、冒頭に僕の状況とそっくりの記述がある。
「六本木ヒルズの書店のキューバコーナーにいったがゲバラの本ばかりでがっかり・・」云々。

「おお、そうだよな!!」
僕は、まさにその書店のーまさにそのコーナーで、まさにゲバラの本に囲まれながら、あいづちをうった。

Iによるこの本は、キューバの観光情報とは程遠いものとすぐにわかったけれど、デジャブのような感覚に、うっかり買ってしまったのである。

Iとはずいぶんと会っていないけど、サラリーマン時代に、シーラカンスを刺身で喰おうと、長期休暇をとってアフリカに探索に出かけた男だ。

その意気込みは男のまろんってやつだろうが、ヤツは寄生虫のコワさを知らないな、と思った記憶がある。(僕は、なぜか寄生虫にやけに詳しい。)

ま、幸いにもIはシーラカンスとは遭遇しなかった。ただそのときにつづったイラスト入り大学ノートの日記を、僕の上司がおもしろがってそのままハードカバーの書籍にしてしまい、ちょっと話題になった。(売ったわけではなく会社案内として学生に配布したのだから、その会社も変わっている) 

その上司は上司で、いまはどこかの中学の校長になったと聞くが、IはIで当時から稀有なキャラクターで、ちなみに文壇の知人にいわせると、いまでは、「大変な存在」だという。それ以外にも、あそこのあの人、だとか、あちらのあの人、が普通に勤めていて、今思うとこんな人間図鑑みたいな会社、静かなサラリーマン生活を望む僕に勤まるわけがなかったのも無理ない。30過ぎにとっとと脱サラし、僕は今に至る・・・。

さて、そんな懐かしい思いもあってこの本を読んだのだが、結局キューバのことはさっぱりわからず(そういった注意書きが本書内にも書かれているようだが)、このブログを書き終わったら、1200円を取り戻しに、ツタヤに談判に向かう予定だ。

そもそも僕が欲しいのは、キューバの市街地図付きの免税店ガイドマップや、ヴィトンが激安で手に入るショップリストや、JALとポイント提携しているホテルの案内や、すっちーと知り合いになれるビーチ情報や・・つまり山下マヌーが書くような生粋の日本人向けのトラベル情報なのである。

と、ここまで書いて、思った。
あんまり好き勝手なことばかり書くと、きっとまた方々から失笑を買うぞ、
「斎藤さん、あんたキューバとグアムを完全にまちがえてますよ・・・」なんて。

いや、それでも僕は、キューバに行きたいのである。

今日届いたばかりのライカ24mmとM8のコンビを首からぶら下げて・・。

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さよならサムライ

今日で11月はおわり。
あしたからは"クリスマス"だ。

こどものころ、日数の少ない月を「西向くサムライ」(2,4,6,9,11)と覚えたものだ。
11月がなんでサムライなのかよくわからないが、とにかく、今年の11月があと7時間でおわろうとしている。

精神が不安定になりがちなのを、いろいろに手を使ってだましだましに日々の作業をこなす。無事おわるのでしょうか・・。

このプロジェクト、よきスタッフに支えられてここまでこれたと思う。Aさんとか、Nクンとか、Mクンとか。とくにグラフィックとスクリプト。いろいろと長丁場で、お疲れ様です。あとすこしです。がんばりましょう。

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フランシス・コッポラは、泥沼化した「地獄の黙示録」がいったん中止になったとき、自宅の二階からプールめがけてオスカー像(ゴッドファーザーで獲った)をなげつけたという。せんぶ、見事にぶっこわれたんだろうね。

監督がプロデューサーを兼ねると、長期化し、苦悩する。自分以外に意見する人がいないから、どんどんと深入りし、おわりがみえなくなる。やがて資金が尽き、作品も座礁する・・・。この気持ちがよくわかるんだ・・・頭がどうにかなってしまいそうな彼の状態がさ。

ぼくが、この話しを初めて読んだのは高校生の時。奥さんのエレノアの日記「ノーツ」(日本ヘラルド出版)でのこと。コッポラの悶絶する描写は壮絶だった。

いま、僕の会社は、シーマン2において開発予算をすべて使い果たしてしまい、この三ヶ月間これまでの備蓄と資産売却をしながら残りの費用を捻出してきた。だから一刻も早く終わらせなければならないんだげど、気をつけなければならないのは「焦って血迷わないこと」。そのためにはなによりもその日一日一日の精神状態を保つことが重要になってくる。

そのためにまず朝、早起きして、今日一日をデザインする。あとは、その日の予定をグダグダいわずにそれをひたすらやる。いままで企画作業はなるだけ自宅でするようにしてきたけど、もうそうはいかない。
若いスタッフと机をならべて、ああだこうだいいながら、ジャックバウアーのCTUのように作業をこなす。これが、なかなか、よい。

すごいのができそうだぞ、今回も。(と思いたい/追加文)

億に届きそうな負債をどう処理しようか、それはいまの仕事がおわったあとに考えることにしよう、クリスマス、なんだからさ。

ま、なんとかなるさ。これまでもそうだったから・・。

あ、クリスマスへの突入までさ、あと、6時間半となってしまった。

ではでは、みなさん、また。

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吐くな!!オヤジよ

「最近の若者は酔っても吐かない。それはサントリーウヰスキーの質がかつてよりも良くなったからである」
そんな名言をいったのは、先日対談した某氏である。

たしかに僕らの世代は、飲んで、吐いた。吐くだけ吐いた。
ホワイトやオールドをコークで割っては飲み、そしてふたたび吐いた。渋谷のあちこちにゲロのマッピングができていた。

そういう世代が40代に到達すると、とにかく厄介である。なにはともあれ絶倫オヤジである。体力も財布の中身も人生の自信も、とにかくありありなものだから、酔うとこの世でトップクラスにやっかいな存在となる。いけてる若者を尻目に、渋谷を我が物顔で闊歩しようとする。

今日の同窓会は、まさにそれであった。

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△かつての先生は、最年少で還暦間近、みなもう、閑居体制でご機嫌である。
いわずもがな一次会でとっとと退散となる。
となると(元)生徒たちは、二次会三次会へとうつり、独壇場でご機嫌となる。

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なぜに、こいつらは、そこまで飲むのか??
普段は大企業や総合病院で偉そうにして高い酒を飲んでるような輩なのに・・・・。
謎が解けぬまま、今日も吐きそうになった。

この手の飲み会は最後はいつも、きもちわるい。

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△渋谷で応援をするな!!

「オヤジをあなどってはいけない」、かつて耳にした言葉を思い出しヒヤヒヤする。そして、いまそれが自分たちのことだったのか気づき、二度ぞっとする。
束になって闊歩するとその恐怖が不思議と消えるのが、さらなる三番目の恐怖へとつながる。

参加者の年齢は合計で4500歳を超えている。
よいこのみなさん、むやみな飲酒は控えましょう。

追伸 40代になってまで、食べ放題飲み放題ひとり2000円、はこれで最後にしたい、とおもった。なにせでてくる焼酎が、ひど過ぎで、たぶん、2Lのペットボトルで500円、なんていう種類ではなかろうか・・・。これは強烈で、2日たっても、まだ体調がもどらない・・・。

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今日から11月

R1062999 今日から11月である。

がんばっていこう!!

といいたいけれど、疲れているので、温泉にはいりたいぞ!!

そんな皆さん、この写真をみて気分だけでも癒されましょう!!

以上11月の抱負でした。

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突然の来客

うちのチーム会議は、いろいろなハプニングが起こる。

この日、議題が予期せず複雑な方向へと進んでしまい、途方にくれて外の景色をボーっと眺めていたら、とつぜん何かが窓の外をよぎった。

「あれ?」とビビッてしばらく見ていたのだが何もおきない。

「もしかして神か!?」
アイデアに煮詰まったときに、たまに神様が降りてきてくれることは以前に書いたのだけれど、いま降りてきてくれたらこんなにありがたいタイミングはない。

待つとはなしに眺めてたら、ただのガラス清掃の人だった。

思わず写真をとったのだけれど、その写真がなんどみても違和感がある。二度吹き出してしまった。

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こういう笑えるイベントがいたるところから飛び込んでくるから、会議ってのは楽しかったりもする。

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F川君おつかれさま

今日でF川君が契約満了でプロジェクトを去ります。おつかれさまでした。

昨日、ちょっとした打ち合わせで顔を合わせたとき、F川君が、「斎藤さん、僕、明日までなんですよ。いろいろとお世話になったので」と照れくさそうに、包装された品をもってきた。包装をあけるとそれは、素朴な木製の筆箱だった。うれしかった分、今日という日を忘れていた自分が恥ずかしかった。

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F君は、なぜ僕に筆箱を選んだんだろう?
そんなことを考えながら、唐突にこの筆箱に彼のサインをお願いをした。

彼はしばらくびっくりした様子だったが自分の席にしばらくもどり、そして「めちゃくちゃ緊張しました」といいながら、サインペンでなまえと日付を書いた筆箱をふたたび持ってきた。

これで、世界で一つのSpecial Editionになった。
F川君、ありがとう。

たとえそれがエルメスのバッグであったとしてもまったく緊張せずにサインできるデザイナーになってください。あなたのサインがエルメスバッグの価値をさらに押し上げるんだ、という自信が、それを可能にするのだと思います。

またどこかで仕事をご一緒しましょう。
筆箱は、大切に使わせてもらいます。

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慣れない事

今月末発売の雑誌「ゲーテ」の見本誌がオフィスに届いていた。
この号では、山田吾郎さんとの短い対談が掲載されている。

僕は、この対談当日、めずらしくネクタイを締めていった。
ずいぶんとネクタイをしめていない生活が続いていたので、前日に日本橋高島屋に妻と赴き、上から下まで新調した次第である。

だが掲載された写真の自分は、やはりネクタイが似合っていない。というか、緩んだタイが曲がったまま写っているではないか。しかも顔が酔っている。ああ、かっこわるい・・。
「普段着でいいですよ」と編集部からいわれていたのにもかかわらず、慣れないことをすると、こうなる。

山田吾郎氏は、噺家のようなべらんめぇ口調の愉快な人だった。そこに本物のヘネシーが出されていた(このコーナーはヘネシーのタイアップ広告ページである)。ヘネシーは、よく飲む酒で、つまり"飲む条件"がその場にはすべて揃っていたわけである。氏の話にあいづちをうちながら、僕は日中からXOをぐびぐびと飲んでしまった。そしてうっかり途中で、慣れないタイを緩めてしまいそのまま掲載・・・となった次第である。

慣れないことは、やはりすべきでない。痛感である。
酔った私の姿をご覧になりたい方は、ゲーテ12月号を本屋で立ち読みしてどうそ笑ってやっていただきたい。