斉藤由多加 (Yoot Saito)
さいとうゆたか
 

東京生まれ。ゲームクリエーター/株式会社ビバリウム。ゲーム作品の代表作は「シーマン~禁断のペット」「大玉」「ザ・タワー」など。ゲーム作品の受賞歴としては、文化庁メディア芸術祭で特別賞、米国ソフトウェア出版協会でCodies賞、Game Developers' Awardsなど。 TheTowerDS が08年6月26日に発売予定 
 使用カメラ/ライカM8 愛用レンズNoktilux 50mm F1.2など

株式会社ビバリウムのサイトはすこしリニュアルしてwww.vivarium.jpに移動しました。
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2006/08/26

コメント

ミラン

斉藤さんこんばんわ。
いつも真剣に拝見させていただいています。

私は小さなゲームデベロップ事業をする会社代表をする35歳の男です。
独立して9年の年月が経ち、今も尚会社をやりくりしています。

私も斉藤さんと同じくして人生最大の目標を仕事としているのですが、斉藤さんの言われるような「経営者としてのオーラ」は自分ではないと思っています。
(実際周りから見ても経営者とは思われないようです)
斉藤さんのこの文章を拝見して、果たして自分は映画でいう主役が勤め続けられるのだろうか。と自問自答してみました。
答えは残念ながらノーでした。
私なりの答えとしては、こういう結果だったのです。

優れた経営者の方々(一般的な結果ではなく、秀逸な結果を果たした方を指す)はじっくりゆっくりではなく、とても早い段階で自分の願いを叶える能力があるように思うのです。(斉藤さんもそうですよね)
私の場合、目標が創業当初から考えればかなりぶれてしまっていて、目標を見失う事もあり、時間のロスなどもあり、寄り道をしながら進んできたように思います。
これは自分自身に能力があるわけではなく、自分が足りない能力は他の人間でカバーするという事で今日までやってきたと思っています。(自分の能力ではないということです)私と違って斉藤さんや他の優れた経営者の方は自分自身で自分の夢を実現できる力を持っているのだと思います。もちろん、人との出会いやタイミングによって叶えた事もその中にあると思いますが、やはり運やタイミング(人との出会いなど)も含めてその方が実現した力だと思うのです。

ということは、一流のスタータイプと二流のスタータイプがあるのだなと思いました。
遺伝子的には独立タイプなのかもしれませんが、私は卑屈になっている訳ではなく、やはり二流スターなんだなと改めて思ったのです。
本気で思っているのですが、駆け上がれる一流スターの斉藤さんにはこれからも独創性ある魅力ある作品を作り続けてもらいたいのです。

実は私が独立するきっかけになったのは、オープンブック9003で一世を風靡したあのThe Towerを作られ、一気にあの当時クリエイターというスターダムに上られた(少なくとも私からみて)斉藤さんの(日経の雑誌に掲載されていた写真付きの)コメントを拝見した事だったのです。自分も頑張ろう!と意気揚々とゲームのメーカーになってやろうと思ったのです。残念ながら大きな要素が欠落していたのでしょうか、ソフトは完成し、パッケージまで作り、流通には流れたのですが結果、負けてしまいました。
でも、目標を改めて設定した今、少しずつですがデベロッパーとして力をつけながら頑張っています。昔からさまざまな斉藤さんの書く文章を拝見して、モチベーションを上げてもらってました。
こんな風に斉藤さんを心の励みにしながら、現代を生きる人間がいるという事実を知ってもらえればと思い投稿させていただきました。
これからも、スターとして頑張っていってほしいと思っていますし、陰ながら応援しています。私にも力がつき、斉藤さんと会える時が来たら私の中で少しスターの要素があるのかな、なんて思いたいなと考えるそんなブログでした。
斉藤さんの存在に「ありがとう」です。
乱文ご容赦ください。

斉藤本人

こんなに長く熱いコメントをもらったのは、ブログ開設以来はじめてです。まずはブログの主催者として御礼をいわせていただきます。ありがとう!!

タワーで日経新聞によく登場していたのは94年から96年くらいのことですから、ミランさんは創業してから10年くらいということでしょうかね。

僕は職業がら、新作発表の時期にはマスコミに登場することがあるのですけれど、それはマスメディアがもたらす幻影のようなもので、一流スターなどではないのです。ただの黒子です。開発者がスター扱いされていた昨今、これは若い人にいいたい、とても大切な考え方だと思っています。
とくに最近のようにソフトウェアが巨大化するに連れ、自分の一人の力があまりに無力であることを僕自身痛感しています。
でもですね、最近はこちらのプログでも時折触れているのですけど、人の力をすこしづつ信じれるようになってきたのです。これまでの僕は自分以外のクリエーターの考えを信用できない人間だったように思います。ぜんぶ自分でしないと安心できない、といったタイプ。だから個性の強いソフトができる一方で、どうしても大規模の開発では弱い・・。
こんな人間がやっている会社で人が育つわけもありません。これがワンマンの限界です。

器が小さいと実現できる作品もおのずと小さい・・年齢のせいか最近それに気づいたように思います。思い返せば戦国武将たちはみなそうでした。対象が自分で刀を振りかざしている軍勢は勝てない、と。
大玉というゲームにこめたメッセージはまさにこういうことだったんですけど、つまり、ならばもっともっと「人に持ち上げられて育つ器」をつくろう、と思い始めたのが最近です。自分らの作品に自分が影響されるというのもおかしな話なんですけどね・・。

本当に優れた経営者ってのは、何かしら優れてるものですが、それがかならずしも個人技というわけではない、という点で僕が一流というわけではなかったし、ミランさんが二流ということでもないと思います。もっともっとメンバーの力を引き出してください。

日本のソフト力が落ちている昨今、若い日本のゲームデベロッパーが力を発揮してもらわないとならない時期だと思います。
目を見張るような作品にむけてどんどんとチャレンジしてください。僕もがんばります。

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