斉藤由多加 (Yoot Saito)
さいとうゆたか
 

東京生まれ。ゲームクリエーター/株式会社ビバリウム。ゲーム作品の代表作は「シーマン~禁断のペット」「大玉」「ザ・タワー」など。ゲーム作品の受賞歴としては、文化庁メディア芸術祭で特別賞、米国ソフトウェア出版協会でCodies賞、Game Developers' Awardsなど。 TheTowerDS が08年6月26日に発売予定 
 使用カメラ/ライカM8 愛用レンズNoktilux 50mm F1.2など

株式会社ビバリウムのサイトはすこしリニュアルしてwww.vivarium.jpに移動しました。
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2006/09/19

コメント

ミラン

この回を拝見して、私が考えていた「自らゲームソフトを世に出す」という行為について安堵感をいただきました。

斉藤さんのされている規模とは比べ物にならないですが、私も以前(8年前)「世にゲームソフトウェアを出す」という行為を行った一人です。

私が作ろうと思ったソフトウェアは、見て美しい、侘び寂びを視覚的に得られる、日本庭園を創るシミュレーションゲームでした。
現実世界と同じように、朝が来て夜が来る、風が吹いて、空気を感じる。石が錆び、苔が鮮やかな色を見せる。
また、自然界の動物が訪れ、植物が季節によって微妙に表情を変えていくそんな美しい日本の庭園を作り、美しさで観客が動因する。
私はこのソフトに大衆マーケットが必ず存在すると確信し、ソフト制作を開始しました。当時27歳の時でした。

ソフトを作るために必要な資金を掻き集め、足りない分を国民金融公庫から調達する際、国金の担当者は、「日本庭園を創りたいマーケットがあるのか」と問いかけて来たのですが、もちろんマーケティングなんて出来ていませんでしたし、マーケティングする資金もある訳がないので、色々な白書書籍をあさり、国金から資金を借り入れる為のプレゼン資料をそれっぽく作り、プレゼンテーションを行いました。
担当者は納得いったのかいかなのか分からない無表情で話を持ち帰って行きました。

マーケティングデータの活用はしましたが、これから作るソフトを大衆が受け入れてくれる為の安心感に繋がるものではありませんでした。(結局貸してくれたのですが、理由は実家の担保です(笑))

大衆にうけるかどうか確信のない未知なるソフトを作るために、700万ほどのお金と1年間の時間を注ぎこんで製作に打ち込みました。
今まで賭け事をしたことのない当時の私にとっては大博打でした。

結果、このソフトはお恥ずかしい話ですが、資金不足の為ゲームシステムがのせられないまま、庭を創るという行為を楽しむ形に変え、発売する事としてしまいました。
内容の不完全さも然り、それ以上に私の未熟さにつきるのですが、ソフトを製作する事に大儀を置いてしまい、一番重要な、大衆への告知(大衆操作)を行う費用を取っておらず、宣伝できなかった事、流通のタイミングを完全に外してしまった事により、大衆からの反応も得られないまま闇に葬られたというのが、私のはじめての大博打した。

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どうしてそのようなソフトを作る行為に出たのか今も考える事があります。

斉藤さんが書かれている内容と同じく、自分と同じようなセンスをもちあわせた人がとれだけいるかを確認したかったというのもあったんだろうと思います。
また、当時の斉藤さんをはじめ、ゲームクリエイターのような姿に憧れを持っていたのも事実です。
「自分は大衆に対して効果的なものを提供する事ができる」と思った思い上がりの気持ちも確かにその時存在していました。


「自己表現のカタルシス」
ソフトを生み出している間に思う色々な気持ちを考えてみると、斉藤さんに失礼かもしれませんがこの言葉が、私にはモノを生み出す者にとってなんと的確なんだろうと思えます。

人間はモノを作り出す時、それが長ければ長いほど色々な事を考え、その一つ一つに一喜一憂しているのですね。そんな事を思い出した内容でした。

この回を読んで、これから先、今度こそしっかりした大衆を魅了するソフトウェアを世にだしてみようと思いました。一本くらいは誰でも作れます。
作り続ける事が価値だと。

ちなみに私もAB型です。私にも少しだけでしょうがそのようなマイノリティー性があるのかもと。

長文及び乱文失礼いたしました。


追伸:

大北京原人展の成功おめでとうございます!
私も22日 40分並んできました。私の後ろには、SCEの方々、任天堂の方々、プレスの方々が大勢並ばれていました。人に行列させる見せ方、とても勉強になりました。入り口に立っていたガードマンが斉藤さんじゃないかとかまで考えたりして(笑)

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